「 く れ な い 」 族

皆さん、おはようございます。

最近 シスター渡辺和子先生の講演を聴く機会に恵まれ、その中から、皆さんにぜひお伝えしたいと思ったことを  お話します。

岡山にノートルダム清心女子大学というカトリックの大学があり、シスター渡辺先生はその学長を長くされた方です。シスター渡辺先生はそろそろ80歳近いかと思いますが、凛とした雰囲気の中で、しかしいつも微笑み(ほほえみ)を絶やさず、穏やかなことばで話されました。よく知られていますが、先生が9歳の時に、226事件が起こりました。これは陸軍の若手軍人がクーデターを起し、首相をはじめ日本の要職にあった人々を襲撃した事件です。シスター渡辺のお父様も陸軍大将で、自宅に軍人が押し入り、先生の目の前で父が暗殺されるというショッキングな体験をお持ちです。その後洗礼を受けられ、20代でシスターになられたそうです。

そして30代半ばの若さで、大学の教授そして学長に抜擢されたそうですが、経験不足で、思うように運ばないことが多くて、「くれない族」になって、心の病に罹ったことがあるそうです。「くれない族」って何だろうと思って聞いていましたら、「くれない族」とは、自分の事を、誰も「認めてくれない」「理解してくれない」「誉めてくれない」「愛してくれない」「感謝してくれない」などと、くれない尽くしで、不平・不満が募った状態だそうです。「当時は仕事の難しさをしみじみ味わった」と話されました。ある時、もう辞めたいという気持ちで、先輩の宣教師の方に愚痴をこぼしたそうです。先輩は「あなたが変わらなければどこへ行っても、何をしても同じですよ。もしあなたが誰かに期待した微笑(ほほえみ)がもらえなかったら、微笑(ほほえ)みをくれないと嘆くのではなくて、あなたの方が微笑(ほほえ)みかけてごらんなさい。微笑(ほほえみ)を忘れた人ほど、そのやさしさを必要としているものですよ」と言われたそうです。そのアドバイスに従って、徐々に物事がうまくゆくようになったそうです。

先生は話を続けられました。「私たちは一生、心の波風と共に生きていかなければなりません。人間は決して自分の思い通りには生きられません。その中で、笑顔で生きるか、暗い顔をして愚痴の多い生活をするか。幸せに生きる自由も、不幸せに生きる自由も、私たち人間には与えられております。人間の心はいつでも、幸せになる自由も、不幸せになる自由ももっているのです」と。

そんな自由が許されているのなら、皆さんはどちらを選んでいかれるでしょうか?

 

今朝はシスター渡辺先生の講演から、私が感銘を受けたところを伝えさせて頂きました。